2002年10月20日

【018】大食い、大酒飲み大会(鈴木和雄)

 最近TVでアメリカのサンフランシスコでサンドイッチの早食い競争大会があり、日本の若い人が優勝したと報じていたが、TVの映像を見て驚いた。彼は口の中にサンドイッチを押し込んでいるだけ、たまに水を飲むが、ずるずると食物が入って行く。彼の体はどうなっているのだろうと心配してしまう。あんな食べ方をして病気にならないか、早死にしないかと他人事ながら恐ろしくなってしまった。その後、香港だと思うが小龍包の早食い競争で勝ち抜いていた人がいたが、これにも彼の胃の大きさや腸の長さがどうなっているかと余計な心配をしてしまったもにである。


 この様な大食い大会や大酒飲み大会は今に始まったことではないようだ。
落語でも志ん朝さんの「試し酒」を聴いていると客人のお供の杢助は主人の前で1升盃で5杯飲み、計5升飲んだことになるが、主人に大酒を飲む秘訣が有るのではないか、飲む前に外に行ったのは、その為ではないかと問われ、杢助は5升の酒は初めてなので外の酒屋で試しに5升の酒を飲んだ事を白状している。杢助は合計で1斗の酒を短時間に飲んだ事になるわけである。


 また「蛇含草」で餅箱一杯の餅を食べて見せると欲張ったが、結局最後に完食は出来ず1、2個の餅を残して苦しげに家に帰って行き、この苦しみから助かりたいと人間の体を溶かしてしまう毒草である事を忘れ、「蛇含草」を一齧りして、人間の形をした餅が羽織を着て座っている事になってしまう。

 「そば清」も20枚、30枚の蕎麦は軽く上げたが、掛け金の獲得と言う欲にからまって50枚の蕎麦を食うには食ったが、最後には苦しくなり、旅先で見つけた食べ物を溶かす薬草ならぬ毒草を食べてしまい、蕎麦が羽織を着ている形になってしまう。


 更に時代は下り、大正時代の事だろうが「代書屋」と言う噺があるが、履歴書の賞罰の項を書く段になり、依頼人が饅頭の大食会に出て優勝し、表彰されたと語っている。


 NHKが編纂した「江戸事情-生活編」に依れば、江戸時代は元禄期以降、庶民の間では食べ比べや酒の飲み比べがよく行われたようである。大食いの方では文化14年の記録で、優勝者はそれぞれ菓子組では「饅頭50個、羊羹7棹、薄皮餅30個」飯組では「飯54杯、唐がらし58本」とある。飯54杯は米4升に相当すると言う。


 また、大酒飲み大会では、江戸では少なくとも3回、慶安、文化、天保年間に大酒飲み会が催された記録があると言う。文化14年の優勝記録は、1人が1斗9升5合(約35リットル)を飲んだと言われている。であるから「試し酒」や「蛇含草」の人達の比ではないことがわかる。


 では、何故こんな大食会や大酒飲み会が行われたのか。
「お江戸の経済事情」小沢詠美子氏著によれば、この時代、武士は士農工商の身分制度のトップにはいたが、一般には薄給で食うや食わずの生活を強いられていた。一方、町民は金こそが力なりと、金持ち連中は贅沢を誇っていたと言う。庶民は大食い大会や大酒飲み大会をやってみせることで「意気地」を示し、金に執着しない「諦め」の境地を顕し、「いき」の美学を貫こうとしたのではないかと述べている。


 しかし、多分に欲も絡み、刹那的な生活に飽きた人達が、己の体の事も省みず、危険な賭けに縋ったのではないかとも思えるのである。

平成14年10月20日

posted by ひろば at 15:04| Comment(2) | TrackBack(0) | エッセイ
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